「あんたから私を呼び出すなんて、いい度胸してんじゃん」
昼休み。私はケバマツゲを空き教室に呼び出した。相変わらず高圧的な態度だけど、ここで怯むもんか。
「昨日の写真、今ここで消して」
「いいよ」
「え?」
こんなにもあっさり⁉ どうした? ケバマツゲ‼
「ほら、よく撮れてるでしょ」
そう言って、携帯の画面を私に見せつけてくる。昨日はあっという間の出来事で、写真を撮られていることにも気付かなかったけど……。ばっちりと、私と昨日の男の子がキスしている瞬間の写真がおさめられていた。
「はい、削除。これでいい?」
ほ、本当に削除した。
「うん。ありがとう」
「あんた、バカ?」
「え?」
「家のパソコンにも保存してあるっつーの!」
まんまと騙され、嫌な目に遭わされた奴にお礼まで言ってしまった。そんな私を見て、ケバマツゲはゲラゲラと笑う。
か、完全にぶちギレた。


