刺すような日差しが照り付ける中、ひとりの少女が浜辺を歩いていた。

「ねぇ、いつまで歩くの?」

……否、少女は一人ではあったが独りではない。少女の後ろには少年がいてその少年は先程からずっと同じ問いを少女に向けて発していた。

「…もう少し、もう少しよ」

もう何度目になるかわからないやり取りを繰り返し、少女と少年は浜辺を流離う。

「…ねぇ、この向こうに、幸せはある…?」

不意に、少年が口を開いた。
少女は少年を振り返りその小さな躰を抱き締め

「あるよ。…きっと、ある」

少年は少女の胸に顔を埋め小さく頷いた。

「だから、もう少し歩こう?…ね、いい子だから…」

少年の旋毛に口付けし、少女は再び歩み出す。

「……little princes(お姉ちゃん)」

少年は呟くと少女の腕を引き、手の甲に口付けをした。すると手の甲の口付けをした部分がたちまち鮮やかな模様を表した。

「…little princes…」