「あら、呼んでたの?」 「あなた声が小さいのよ。もっとしっかり声を出しなさい」 店内はお客さんが数人しかいないし、音楽もなにもかかっていない。 こんなに静かなのに聞こえないわけがない。 「はい。すみません」 謝罪の言葉を口にしてわたしは洗い物のつづきを始めた。 原因は分からないけど昨日からのどが痛かった。 大きな声を出そうと意識してみるとかすれ声になってしまう。 それでも頑張って大きな声を出す。 早くバイト終わらないかな……