「待って」


帰ろうとする虎ちゃんを、思わずひきとめていた。


「なに?」


「え…と、その、大塚さんと…会うの?」


「さあ?わかんねー。気が向いたら会うかも」


「そうなんだ……」


胸がギュッと痛くなる。


この痛みの正体がなんなのか、あたしは薄々気付いてる。


だけど、それを言葉にしてしまうのが怖い。





「じゃーな。また」


虎ちゃんがそのまま帰ろうとしたから、あたしは虎ちゃんの制服の裾を引っ張った。


「あたしを好きって言ったのは?それなのに、大塚さんと会うの?」


こんなこと、聞いたって仕方のないこと。


それでも…確かめずにはいられなかった。