「……――おおかみ!!!」 おおかみ……? 大声で叫んでみてからふと自分の発した言葉を振り返る。 えっ?あたし、今……狼って言った? 狼谷君は『おおたに』っていう苗字で狼じゃないのに……――。 「なぁ」 「は、はい!!」 いつの間にか目の前に立っていた狼谷君は目を細めてジッとあたしの顔を覗き込む。 「おおかみって、俺のことか?」 「へっ?あたし、狼なんて言ったかな?」 心の中ではちゃんと狼谷君って言ってたんだよぉぉぉ! あははっと何とかこの場をやり過ごそうととぼけたように笑う。