もう一度謝ろうと顔を上げた瞬間、あたしの体がふわりと何かに包み込まれた。 「……えっ……?」 鼻に届く甘い男物の香水の匂い。 それは間違いなく狼谷君のもので。 あたしの体を長い右腕でギュッと抱きしめながら 「もういい。好きなだけ泣け」 狼谷君は低い声でそう言った。 「……うっ……うう……」 その声があまりにも優しくて涙腺が再び崩壊する。 もう自分自身を止められない。 声を上げて泣くあたしを狼谷君は黙って抱きしめてくれる。