「こんなとこにいるくらいなら、屋上にこいよ」 「え?」 「ここよりはよっぽどましだろ」 「どういう意味?」 「こんなとこに座ってたら、ケツ濡れるだろ」 狼谷君のその言葉にふと制服のスカートを触ると、何故か湿っていて。 「わっ、ホントだ……」 よく見ると、日当たりの悪い倉庫の裏手側には寒さで霜が降りていた。 こんなところに座り込んだら……濡れるに決まってる。 あたし、そんなことも考えられないくらい混乱してたんだ。 狼谷君が……男の子を好きだっていう事実に……。