「あの……――狼谷君!!」 呼び止めると、狼谷君はゆっくりと振り返った。 一度ハァと息を吐き出してから大声で叫ぶ。 「……――今度、屋上に行ってもいいかな!?」 勇気を出して放った言葉の返事。 「勝手にしろ」 ぶっきら棒にそう言うと、狼谷君はそのままあたしに背中を向けて暗闇の中に消えて行った。