「どうしよう……。どこに落としちゃったんだろう……」


地面に視線を落として必死になって手袋を探すものの、辺りが暗いこともあってなかなか見つからない。


しばらく歩くと、駅前まで来ていた。


そこは塾帰りに不良達に取り囲まれて散々からかわれた嫌な思い出のある場所。


どうしよう……。


明日の朝、いつもより早く起きて学校に行く前に探そうかな。


だけど、その間にも愁太にもらった手袋は誰かに踏まれているかもしれない。


そう考えると、やっぱり諦めることなんてできなくて。


諦めずに探さなきゃ。


覚悟を決めて一歩を踏み出した時、ポンポンッと誰かに肩を叩かれた。



「ねぇ、さっきから何探してんの~?」


振り返ると、そこには耳にジャラジャラとピアスをつけた派手な男の子が立っていた。