「斉藤君……」 「逃げて……ごめん」 「斉藤君、こないだから謝ってばっかりだよ?」 差し出された手に掴まりながら立ち上がってそう言うと、彼は顔を苦しそうに歪めた。 「俺……とんでもないことした……」 真っ青な彼の顔。 不安そうな瞳がユラユラと揺れている。