「いらっしゃいませ~、こちらの席へどうぞ」 店に入ってきた男女は店員さんの後に続いて歩き出す。 ドクン……ドクン……。 気持ちを落ち着かせようと胸に左手を当てる。 お願い。あたしの存在に……気付かないで……。 お願いだから……――。 「あれっ?もしかして、桃華……ちゃん?」 だけど、現実は残酷だ。 「あたしのこと覚えてるかな?」 「うん……。覚えてるよ」 「わ~、偶然だね」 通路を挟んだ反対側の席に座った瑞穂ちゃんはニコっと可愛らしい笑みを浮かべた。