「ったく。どんくさいのはあいかわらずだな」
保健室に着き、ティッシュ箱をこちらに差し出しながら呆れたようにいう星哉。
星哉とこうやってしゃべるのは……電話で別れを切り出した日以来。
「ごめんね、迷惑かけちゃって……」
ティッシュを箱から引き抜いて鼻に当てながら恐る恐る星哉に目を向ける。
こうやって至近距離で星哉を見ても、ケガをしている様子はない。
よかった……。
あたしが星哉と別れれば、星哉に手を出さないという約束を稲葉君は守ってくれているようだ。
ホッと胸をなでおろしていると、星哉があたしの手を掴んだ。



