「熊井さん、ごめん!!大丈夫?」
思わずジャージの袖で顔を抑えてうつむくと、頭上から男の子の声がした。
「ホントごめん!!俺が責任を持って保健室に連れていくから」
そう言って心配そうにあたしに手を差し出す斉藤君。
「ううん……。大丈夫だから、気にしないで?保健室なら自分で行けるし」
斉藤君とこうやって話すのは、あの告白以来だ。
何だか少しきまずくて、視線を下げる。
「どうしちゃったの~?」とか「さっきボール当たったみたい」とか「動かないし、ケガしたのかな」とか……。
周りにいる生徒たちがザワザワと騒ぎ始める。
「立てる?」
「あのっ、本当に大丈夫だから」
鼻血が出ているところなんて見られたくない。
自力で勢いよく立ち上がると、一瞬、めまいが起こった。



