「あぁ、それから、『別れた振り』は通用しないから。少し前から君と狼谷には監視をつけてあるから」
「監視ってどういうこと?」
「金ならいくらでもあるからね。金で人を雇うなんて簡単なんだよ。君や狼谷とは違って、金があれば何だってできるんだ」
金があれば……なんだってできる?
そんなことない。
そう心の中で否定する。
それに、監視って……。
いつ、どこで監視されていたんだろう。
誰かに行動を監視されていたなんて思ってもみなかった。
一体誰があたしたちの監視をしていたの……?
まさか、身近な人……――?
「で、どうする?今、ここで決めて」
迫るような目であたしを見つめる彼から目を反らして、手元の携帯に目を向ける。



