「もしもし……?」 『……――今、大丈夫か?』 「うん……。大丈夫だよ」 『外にいるのか?』 「うん。家の近くの路地にいるよ」 『何でそんなところにいるんだよ。つーか、今から会えるか?話がある』 『話って……?』 『電話じゃなくて、直接話したい』 『うん……』 大好きな星哉の低い声に心臓がトクンっと震える。 とその時、突然耳に当てていた携帯を誰かに引っ張られた。 「え……?」 驚いて振り返ると、そこには、あたしの携帯を片手にニヤリと怪しい笑みを浮かべる稲葉君が立っていた。