ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている稲葉君。 もしかして……後をつけられてる? 肩にかけたバックの紐をギュッと握りしめてハァと息を吐く。 角の先には細い路地がある。 そこに飛び込めば、きっと彼を巻くことができる。 このあたりは普段から通いなれた道だし、自信はあった。