「ねぇ」


「はい……?」


その場に立ち止りお互いの顔を見合わせると、男の子はニッと口の端を持ち上げて笑う。



「君……この間狼谷と一緒にいたよね?」


「えっ……?」


「ほら、駅前から少し離れた公園で。一緒にベンチに座ってたでしょ?」


「あっ……はい……」


あいまいに返事をしてからほんの少しだけ後悔する。


今、目の前にいる男の子に星哉はあまりいい感情を抱いていないように見えたから。


球技大会をサボって二人で駅前をプラプラしたあの日。


駅前にいる補導員に追いかけられた後に立ち寄った公園。


そこで、現れたのが今目の前にいる男の子。


彼が現れた時、狼谷君はあたしを背中に隠した。