ナオくんと別れて家路に着く。


瑞穂ちゃんと星哉が別れた理由は、単純なことじゃなかった。


お互いを好きじゃなくなったとかそういう理由ではなく、自分の周りの人間も巻き込むような問題だったんだ。


胸の中が息苦しいまでにずっしりと重くなる。


あたし……星哉のこと……何も知らない。



「ハァ……」


小さくため息を吐いた時、ふと前から歩いてきた男の子が目に付いた。


なぜか見覚えのある男の子。


真面目でおとなしそうな風貌に似合わない鋭い瞳。


どこかで見たことがある気がする。


「……あ」


男の子はあたしの横をすれ違おうとした瞬間、声を漏らした。