忘れよう、忘れようって何度も自分に言い聞かせてみたけど忘れることなんてできなくて。
何をしていてもふとした拍子にあの日の出来事を思い出して、胸が苦しくなる。
だけど、直接星哉に聞く勇気もなくて。
あの日だって、星哉に声をかけることもできずに逃げるように駆け出した。
「桃華の彼氏、浮気してんじゃね?」
「……うわ……き?」
「そう。忙しい理由って聞いてんの?」
「それは聞いてないけど……、多分バイト……かな?」
「かな?ってなんだよ。直接聞くこともできないのかよ」
だって、星哉が忙しいっていう理由があの女の子だったとしたら、立ち直れなくなりそうだから。



