「つーか、ナオって奴があれ見つかった~とか言ってたけど、何のこと?」
「えっとね、実は愁太にもらったピンクの手袋を片方落としちゃって。それを一緒に探してくれたの」
「へぇ……。そんなことが……――って、桃華、またなくしただろ」
「えっ?」
「手袋」
手袋?なくした?
「あれれ?」
そういえば、行きにしていた手袋をしていない。
コートのポケットやバッグの中を探しても、手袋を見当たらない。
「やだ……。もしかして、店に置いてきちゃったのかも」
「だろうな。あとで狼谷に手袋あるか聞いてみれば……――って、桃華!?」
「ごめん、愁太!!先に帰って!!!」
ドジなあたしのこと。
歩きながら落としたとも考えられなくない。



