「いや、別に理由はないけど……」 あいまいな返事でごまかそうとする愁太。 あたしはニコッと笑いながら愁太の顔を覗き込んだ。 「愁太、沙希のこと好きでしょ?」 あたしの予想だと、中学の時から。 愁太はいつだって沙希のことを目で追っている。 今まで確信はなかったけど、さっきの焦り方で確信を持った。