「ワガママ言って……ごめんね。あたし、星哉の気持ち全然考えてあげられてなかったよ」


「俺の気持ち?」


「そう。限界って言う気持ちも分かったよ。だから……――」


床に座ってあたしの手を握り続けるのも疲れたよね?


その時、星哉の目が一瞬あやしく光った気がした。


「じゃあ、いいんだな?」


「え?」


「好きな女と部屋の中で二人っきりっていう状況がヤバいってようやく分かったか?さっきから理性保つのが精いっぱいだった」


「好きな女……二人っきり……状況……ヤバい……理性?」


星哉の言葉をところどころ復唱した時、


「桃華の風邪、俺が全部もらってやるよ」


星哉はそっとあたしの唇にキスをした。