「えっ……?」
なに?一体何が起こっているの……?
あたしの体に回された長い腕。
とろけてしまいそうなほど甘い香水の匂い。
それに混じったタバコのにおい。
「……――なんで泣いてんだよ」
低くてかすれた大好きな声。
「だって……だって……」
「だから泣くなって」
「どうして……戻ってきてくれたの?」
「別にお前の為に戻ってきたわけじゃねぇよ」
「じゃあ、どうしてここにいるの?」
「さぁな」
「どうして……あたしを抱きしめてくれるの……?」
うまく言葉にならないけれど、必死でそう尋ねる。
すると、狼谷君はあたしの頭を優しく撫でながらこう答えた。



