「お前に嫌なことをされた覚えはない」 「だったら……、だったらどうして二度と関わるななんて言うの?」 「別に理由なんてねぇよ」 困らせてるっていう自覚はある。 涙を流すあたしに目を向けた狼谷君の顔がひどく辛そうだったから。 固く拳を握りしめて、何かを思い悩むような表情を浮かべている狼谷君。 あたしはどうすることもできずに、ただすがりつくように質問を繰り返した。