しばらくそのまま歩き続けると、狼谷君はぴたりと立ち止った。
あたしの手を離して向かい合った時、狼谷君の顔にほんの少しの焦りを感じ取った。
狼谷君のそんな顔……、今まで一度だって見たことがない。
そして、わずかな間の後、狼谷君は唐突にこう言い放った。
「……――二度と俺に関わるな。分かったか?」
「……え?」
あまりに突然のことに面食らう。
二度と……関わるな?
どうして急にそんなことを言うの?
あたし、狼谷君と友達になれたんだよね?
あたしと狼谷君は友達だっていってくれたじゃない。
それなのに、急にどうして……――?
「……――どうして?あたし、何か嫌なことした?」
自分の意思とは関係なくボロボロと流れ落ちる涙。
喉の奥から絞り出してそう尋ねると、狼谷君は少しだけ困ったように視線を下げた。



