「……――狼谷君?」 グイグイと腕を引かれ小走りになるあたし。 なぜか余裕のなさそうな狼谷君。 「いいか。絶対に振り返るな。あいつに顔を見られないように歩け」 思わず声をかけると、狼谷君は低くかすれた声でそう言った。 鬼気迫る様子の狼谷君に、それ以上声をかけることはできなくて。 「えっ……?うん……。分かった」 あたしは狼谷君の言うとおりに、振り返ることもせずに公園を後にした。