それになぜか、さっきから狼谷君はしきりに辺りを気にしている。 「ねぇ、狼谷く……――」 「……――5秒数えたら走るぞ」 「え?」 狼谷君は唐突にそう言うと、あたしの左手をギュッと握った。 その途端、手のひらから狼谷君の熱が全身に広がる。 「1、2、3……」 「えっ?ちょっ……どういうこと?」 「4、5……。いいから黙って走れ!!」 えぇ!?ちょっと待って!! その掛け声と同時に、走り出した狼谷君。 「……――そこの二人!!待ちなさい!!!」 その時、背後で誰かの怒鳴り声がした。