今の話……聞かれちゃったかも……。 「狼谷君……――」 「桃華、やめろって」 胸がズキンっと痛む。 彼の後を追いかけようとするあたしを愁太が必死で止める。 ごめんね、狼谷君。 少し前まで、狼谷君のことが好きじゃなかった。 暴力沙汰を起こして謹慎になった怖い人。 そんなレッテルを貼って極力関わらないようにしてた。 だけど、今は違う。 今は違うの……――。