「本当にいいの?」
「あればの話だけどな」
教室に入ると、狼谷君は自分のロッカーの前に座り込んでジャージを探し始めた。
あたしも狼谷君の隣にちょこんっと座り込んで、ロッカーの中を覗き込む。
お世辞にも綺麗とは言えないロッカーの中から次々と出てくる綺麗な教科書やノート。
狼谷君……絶対真面目に授業受けてない……。
心の中で苦笑いしたとき、
「これでいいんだろ?」
狼谷君はジャージを見つけて勢いよく引っ張り出した。
だけど、その拍子にジャージと一緒に何かがポトリと床に落ちる。
手のひらサイズの四角い箱。
目を凝らすと、それはまだ封の切られていない新品のタバコだった。



