アスターの容態は、一進一退で不安定です。


調子の良い時は、少しくらいなら会話ができます。

しかし、調子の悪い時は酷く苦しむのです。


そんなアスターをみて、プルメリアは心が痛み苦しくなります。

何とか力になってあげたい。
変われるなら変わってあげたい。

苦しむアスターを見ると、プルメリアは思うのです。

アスターは調子が良い時は決まって、プルメリアの話しを聞きたがります。

それも死神の話しを。


「なぁ、プルメリア。俺に死神は見えてるの?」


プルメリアは真剣な顔で答えます。


「ううん。アスターには死神なんか見えないよ。だから、死なないよ?」


「そっかぁ。良かった。でも、死神っていきなり現れるんだよな?」


「まぁ、そうだけど…。でも、アスターには現れないよ!」


「いきなり現れて、いきなり死ぬの?」


「ううん。人によるよ…。でも、死神が近くにいればいるほど早く死ぬかも…」


「ふ〜ん。良いなぁ、プルメリアは。俺も死神が見たいよ。絶対に、面白いからな」


「馬鹿な事言わないでよ。死神なんか見えたって良い事ないよ。アスター、この話し止めない?もっと、他の楽しい話しにしようよ?」


「俺は、この話しが好きなんだ。もっと、聞かせてよ」


「…。わかった」


プルメリアは、死神の話しなんかアスターにしたくありません。

衰弱しきっているアスターに、こんな不吉な話しをすることに抵抗を感じるからです。

しかし、アスターが喜び嬉しそうにすると完全に拒否なんかできないのです。

プルメリアは、自分の心と葛藤する毎日。


「こんな話し、本音にアスターにして良いの?」


プルメリアには答えは分かりません。

ただ、アスターが喜ぶから話す。

それだけです。


そんなプルメリアとアスターの様子を見て、父親は忌ま忌ましく思います。

そして、ある決断をするのです。