トリトマは怯むことなく、続けます。


「兄貴は自殺した!医者が証明してくれたんだ!!それでも俺を疑う奴はいるのか!?」



医者はトリトマに抱きしめられたまま、震えているだけ。


町の人々も、目をそむけ始めます。


しかし、一人の男が弱々しく話しました。


「ト、トリトマが…。トリトマが殺してなかったとしても…。結果は同じだろ?共同墓地に埋葬するだけさ…。」


トリトマはすぐに反応します。


「さっきも言っただろ!兄貴は共同墓地を嫌っていたんだ!!そんな所に、眠らせる訳にはいかないんだよ!!」


「じゃ、じゃあ!どうするんだ!?」



トリトマは力強く答えます。


「どこか、静かな場所に眠らせてやる!!」



この言葉に、町中が氷つきます。

しかし、トリトマは気にせずに続けます。


「兄貴の夢…。最後ぐらい、叶えてやりたいんだ。静かな場所に連れていかせてくれ!」


人々は恐れ、そして、緊張します。

トリトマを外に出す事に。

「だ、駄目だ!そこまで勝手は許されない!!」


人々は慌てながらトリトマに叫びます。


「トリトマ!調子に乗りすぎだ!!絶対に駄目だ!!」


殺気立ち、トリトマに近づいてきます。


トリトマは、そんな人々を睨みつけ冷静に聞きました。


「なんで、駄目なんだ?」


沈黙ーーー。


誰も答えません。

いや、答えられません。


トリトマは、冷静な表情で更に聞きます。


「なんで、駄目なのか。俺が納得する理由を言えよ。そしたら、考えなおす。」


更に沈黙ーーー。


誰も口を開けません。

開く事が恐いのです。

理由なんか、ハッキリと言えません。

医者も震えがとまり、トリトマの顔を、ただ見つめることしかできません。