トリトマの胸の中、医者は大きく震えています。


一体、何が起こったのか。

町の人々は、訳がわかりません。


トリトマは医者に離しかけます。


「落ち着いて。大丈夫だよ。」



医者は震えたまま、何も言いません。


しかし、町の人々は確信します。



「トリトマ!!やはり、お前がサフィニアを殺したんだな!!」



医者の動揺、トリトマの奇行…、全てが怪し過ぎると思ったのです。


すると、トリトマに抱きしめられながらも医者は大声で叫びます。



「ち、違うわ!!!トリトマは殺してない!!!!」


町の人々は、医者の言葉にうろたえます。


すると、トリトマは更に医者を強く抱きしめ言うのです。


「ありがとう!やっと、証明された!!俺が無実だと!!」


医者は抱きしめられたまま、震えています。


トリトマは、町の人々に怒鳴ります。


「お前ら!俺に濡れ衣をきせたな!!お前らが犯罪者だ!」


町の人々は引き攣った表情で怒鳴り返します。


「何言ってやがる!疑っただけで、犯罪者扱い!?ふざけるな!!」


「いや、お前らは犯罪者だ!サフィニアを殺したのは、お前らだ!」


「い、意味が分からん!濡れ衣をかぶせてきてるのはトリトマだ!」


「兄貴は、お前らのその攻撃性にビビってたんだよ!見てみろ!医者だって、お前らに怒鳴られ酷く恐がってるじゃねぇか!!サフィニアも同じだ!お前らを恐がって、悩み自ら死を選んだんだ!!!」


トリトマの訴えに、人々は黙ってしまいます。


「関わりたくない」


そう思ったのです。

下手をしたら、自分の首を絞めてしまうかもしれません。


トリトマは続けます。


「おい!何とか言えよ!!犯罪者は誰だ!?」


人々は目をそらし、自分には関係のない顔をし始めました。