【短編】ダンサー

1ヶ月後、私はダンススタジオにいた。

小さい頃から通っていたスタジオで、先生の助手として働く事になった。

楽しそうに踊る生徒の姿は眩しすぎて辛い時もあるけれど、その手伝いをするのは悪くない。

私の指導で少しでも上手くなったり、ダンスが好きになったりするのにやりがいを感じ始めている。

病院にも通い始めた。

帰国してから1度だけダンスの先生にいい先生がいるから、と無理矢理連れて行かれたその病院は、拓海の実家だった。

2年ぶりの病院に、絶対について行くと言って診察室に入った拓海は、私以上に緊張して、私以上に医者にしつこく質問した。

医者は、完治は難しいが、そこに向かって最大限の努力をすると言ってくれた。

拓海は最後に、宜しくお願いします、と深々と頭を下げた、自分の父親に。

「だから私のひざの事詳しく知ってたんだね」

病院からの帰り道、やっと解けた謎を口にした。

「麻衣さんの事なら何でも知ってるんだ。愛の力だよ」

あんまり自信満々に言ったから、そんなクサいセリフ信じちゃったよ。

でも、それは本当かもしれない。