トラックから降りてきた新しい住人に声をかけた。

「こんにちわ、私は管理人の……あれ? 外浦くん?」

彼の怪訝そうな顔は一瞬で、

すぐに思い出したようだ。


「あ、立夏ちゃん?柏木立夏ちゃん?」


「あ、うん、結婚したから上野だけどね。」

「そうかあ、懐かしいなあ。

 でも去年あったっけ、新潟で、なんでこっちに?」


「ああ、うん。

 事情があって、今はココで管理人してるの。

 外浦君こそどうしてこっちに?

 新潟で働いてるんじゃなかった?」


「あれは、季節事業のために夏だけむこうで、

 本来はこっちの本社勤め。

 で、今日からここの2号室住人なんだけど。」


「え?あ、『外浦七瀬』って。

 ホントだびっくり!

 私はここの管理人なの。

 一号室に住んでるから。

 じゃあ、お隣さんなのねよろしく。」


「え?じゃあ不動産で言ってた管理人て立夏ちゃん?」


「うん、よろしくね。」

外浦君は、トラックの方へ行って引越し屋さんと話をしている。

うそみたい、驚いた、

さっき昔のこと思い出してた。

その外浦君がうちのアパートに引っ越してくるなんて。

偶然過ぎる再会に胸は高鳴っていた。

あのころとは違うんだから、

私には行方不明だけど主人がいるし、

娘だっているんだから。

舞い上がりそうになる自分にそう言い聞かせに気持ちを落ち着かせた。