「...」

思い当たるふしを感じつつも、首を傾げる。


「朝会の時、言ってたね」


春太先輩の口調は優しくても、目は笑っていなかった。



「...え、でもあれはカンペじゃ...」

「ああそうだね、あれを言ってって言ったのは俺だし、あのカンペを書いたのも俺だよ?」

「じ、じゃあ尚更無効じゃっ...」

「俺が狙ってやったんだから、無効にするわけないだろう?七瀬ちゃん、面白い事言うなぁ」

クスクスと笑いながら私の頬に手をあてる春太先輩。

「へ、屁理屈じゃないですか...!」

何故か本能的な危機を感じ、思わず先輩の手から逃げようとする。

「うん知ってるよ?逃げないでよ、傷つくなぁ」

でも、壁に押し付けられて逃げ場がなくなる。


「し、春太先輩どうしちゃったんですか...?!」

何時もと全く違う春太先輩に恐怖を覚え、震える声で尋ねた。

「どうもしてないよ?ただ、俺は爽やかな生徒会長なんかじゃないって事。」

そう言って何時もの笑みを浮かべた。

そんな笑みですら、この状況では恐ろしい以外のなにものでもなかった。