幸い結城と私は席が隣。

チャンスはいくらでもある。

見てなさい、結城くらいすぐ惚れさせるんだからっ!



授業中。


「舜くん...」

私は困ったような表情で彼を見つめる。

「...なんだ、」

迷惑そうに私を見下ろす結城。


っ、なによその態度っ...!!!!!

「あの...この問題わからなくて、その...」

とある問題を指差してわざと申し訳なさそうに呟き眉を下げる。

...こんな問題くらい解けるけど、こういうキャラの方が好感もおっきいし、なにより隙があるようにみえるでしょ?


我ながらだいぶいい作戦だと思う。

勝ち誇った笑みを抑え、少し涙目で結城を見上げる。

「...言っておくが俺には馬鹿に勉強を教える暇なんてない。他をあたれ」

横目で私を見て結城が一言。

...大丈夫、想定内。


怒りを抑えて私はギリギリ聞こえるくらいの大きさで呟く。




「そっか、舜くんもわかんないのか...じゃあしょうがないかぁ」





その刹那、結城のノートをとる手がとまった。


「...まて、いつ俺がわからないと言った?」

「だって教えてくれないから...」

「...いいだろう教えてやる、放課後教室にいろ」


そして明らかに不機嫌そうに結城は「授業中だからもう話しかけるな」と吐き捨て黒板に視線を向けた。


かかった...!
結城はプライドが高い。だから特に勉強面の挑発には乗るはずだとは思ったけど、まさかこんな簡単とはね..

でも二人きりになる口実ができたんだからもうこっちのもんだよね!