まあ、最初は誰かなんて分からなかったし、興味もなかった。

ただ、あの店で食べたビーフシチュー。あれは美味かった。

有名シェフの料理ばかり食べて育った俺の舌に合うはずがない。

そんなことを思いながら食べた覚えがある。だが、あの素朴な味。

肥えた舌に新鮮だった。一瞬でその味の虜となった。