昔の彼氏の夢を見た。
なつかしい横顔と、
シャツの柄。
何か遠くにあるものを
見つめながら
私に話しかけていた。
けれども、声は
聞こえなかったから、
どんな話をしていたのかは
わからない。
ただ、
「芽衣、
寝ながら笑ってたよ」
先に起きていた彼氏が
そう言っていたから、
きっと楽しい話を
していたんだろうと思う。
「夢見てたの?」
いかにも今日も暑そうな
窓の外。
耳鳴りのように注ぐ
蝉の声。
エアコンのきいた部屋の
きんと乾いた空気。
カーテン越しにのぞいた
空のにじむ青色。
「うん・・・
なんか、元彼と話してる夢」
「あ、そう」


