【完】愛し君へ、愛の口づけを

すると、後ろの方で里奈の笑い声が聞こえた。


「ふふっ」



俺の耳にはすぐ里奈の声を聞き分ける事が出来た。
聞き間違いじゃない。


いつも聞いている声。

透き通る高めの綺麗な声だから、よく分かる。




もしかしたら、
こんな俺の後ろをついてきてたのかもしれない。


ラブホ街に入ってしまった俺を笑っているのかもしれない。




そんなあり得ない幻想を描きながら後ろを振り向いた。












俺よりも大人っぽい男と歩く里奈の姿。


「・・・」



俺は茫然とその二人の姿を見つめていた。


里奈は俺に向けてくれていた笑顔を、そいつに向けている。





すると
里奈は俺の視線に気づいたのか、俺の方を見た。



「・・・あ」

里奈は立ち止まる。


隣にいる男は不思議そうに里奈を見ていた。




「ごめんなさい。今日はやめときましょう」


里奈は隣の男にそう言うと、俺の手を取りホテル街を抜けた。