現実的ではないのかもしれない。
好きな人に殺してほしいなんて。
そこまでする?って笑われるかもしれない。
・・・それでもいい。
私の幸せはきっとその向こうにあるから。
「莉央・・・」
「お兄ちゃん」
「・・・」
「決めたの?」
「・・・え」
「私の事、好きにしていいよって言ったでしょ?」
「・・・」
「そのはさみ。なんだか懐かしいね」
「これは・・・」
「お願い、お兄ちゃん」
私はお兄ちゃんにすがるようにこう言った。
「早くお兄ちゃんの手で私を殺して」
私の言葉を聞いた瞬間、
お兄ちゃんは手に持っていたはさみを大きく振り上げた。
「・・・お兄ちゃん」
好きな人の手で、
最後の時を迎えられる。
こんなに素敵な事はない。
もう、お兄ちゃんの辛い顔を見る事も無くなるし、
お兄ちゃんの事を想っていなくなれる。