手を振るのをやめた真木が、ようやくバットを構えた。 そして。 まるでボールが真木のバットに吸い付いていった、と思ったら 気付けば遥か頭上へ。 綺麗な弧を描くようにして飛んでいった。 相手のピッチャーは野球部の三年。 二軍だが、球のスピードもパワーも十分にあった。 そんな簡単に打たれる球ではなかったはず。 なのに ワァッーーー… コートは大きな歓声に包まれて その中を真木が悠々と走り抜けていった。