雨は好きだ。 光を浴びなくてすむから。 心が洗われる気がするから。 泣いてもばれないから。 ーーー雨が好きだ。 濡れた服は、更に冷たくなっていく。 階段に行けば、着替えもある。 だから、濡れてもいいや。 「私は……自分に何を望む?」 もう何年も出ない答えを求めている。 だって、わからないんだ。 夢を見る間もなく、親と引き離されていた。 その時点で、私の未来は決まっていたのだから。 考える時間もろくになくて。 こんなにもゆっくり考えようとした事は一度だって無かった。