優しい爪先立ちのしかた





ほぼ金髪に近い髪を後ろから見て、鍋を覗き込む。

「おはよう、お腹空いた」

「おはようございます、もうすぐ出来ます」

調味料の棚の上に料理本が広がっていた。どこから出したのか、結構古いもの。

開かれたページは、基本中の基本。出汁の取り方、だった。

出されたおじやをパクパクと食べた栄生は、梢が洗濯機をまわしに行っている間に皿を洗ってしまった。

鞄を持って、玄関へと歩く。

「洗わなくて良いって、ずっと言ってるつもりなんですけど」

ローファーを履いてふと顔を上げると居て驚く。

「作って貰うばっかりじゃ、悪いでしょう。行ってきます」

「行ってらっしゃい」

当然のことだろうが、と思いながら梢は溜め息を吐いて見送った。