他人の体温を感じて初めて眠った夜、自分の心の寂しさを埋める方法を見つけた。

カナンに言われてその頻度は減ったけれど、全てを拭いさることは出来なかった。

でも、家に代わる代わる来る使用人は、女だろうと男だろうと好きになっても愛することは無かった。

使用人は、本家を通じて来た人間であり、それは家族と同等だと栄生の中で思っていたから。

でも、梢を愛した。

ずっと一緒にいる、と安い台詞を来た当初吐いた。栄生はそれが気休めだと知りながら、頭の中に残っていた。

記憶力は良い。幼い時、誰が何をどんな意図で話をしていたのかまで、きちんと覚えている。