優しい爪先立ちのしかた


私はレアキャラか、ひとりで突っ込みをいれながら。

「お誕生日、おめでとうございます」

「ありがとう、栄生さんのご両親は、今回も来ていないの?」

辺りを見回す呉葉。

その言葉に父親の表情は分かり易く固まり、栄生は更に一層笑顔を濃くした。

「多忙なもので」

ちょうど良いタイミングで、滝埜が栄生を呼ぶ声が聞こえた。会釈をして、その場を逃れる。

「元気そうで良かった。最後に会ったのはお正月だものね」

「そうだな」

「今度、ちゃんと栄生さんのお母さんに会ってみたい。あの子良い子だもの」

ね? と賛同を求める呉葉に、静かに頷く父親。

本当、お前たちは親子だよ。