優しい爪先立ちのしかた


何にも阻まれずに進んでしまう人生が怖いなんて言ったら、笑われるだろうか。

「氷室さんは受けたいの?」

「どっちかって言えば楽に進学出来るならそれで良いんですけど。この前、深山さんに偉そうなこと言っちゃって」

えらそうなこと? と復唱。外が少し明るくなったのが分かった。

「深山コロッケ継ぐって言ってたから。だから、それって逃げなんじゃないのって言っちゃって。人の進路、逃げなんて言うの最低ですよね」

実はあの後、かなり落ち込んでいたのは栄生の方。

十人十色とはよく言ったもので、誰一人として同じ人間は居ない。

「だから、なんだかこのまま推薦受けるのも私にとっての逃げのような気がして」