優しい爪先立ちのしかた


未だ微笑んでいる栄生。

貴方がそれを言ってしまうのか。

梢は栄生の頬に手を伸ばした。殆ど反射的に。

「どうしたの?」

きょとんと触れた手と梢を見上げる。からかっていた顔はどこへやら。梢は口を開いた。

「不謹慎なことを聞いても、良いですか」

「はい。どうぞ」

「もしも呉葉さんが亡くなったら、栄生さんは墓参りに来ますか」

本当に不謹慎な質問だ。苦笑しながら栄生は触れている梢の手を取った。

「勿論。お兄さんの母上のお墓参りにも来てるんだから、来ないはずが無いでしょう?」

その手がゆっくりと戻っていく。

それで良いのだろうか。

「許すんですか…?」

珍しく疑問型になる口調。梢より年下の女は、何でもないことのように言った。