車を発進させて答えた。
確かに梢は嶺のお墨付きだが、そんなに仲が良いとは思わなかった。あの義理兄と、一体どんな風に仲良くなったのか気になりもする。
栄生は早速パンプスを脱ぎ、シートの上で膝を抱いた。赤信号で停まり、フロントガラスから梢へ視線を向ける。綺麗な横顔に、金茶の髪が映えている。
「そんなに見られると穴があきますよ」
「ピアス穴なら拡張してあげるけど」
「全力でお断りします」
「梢」
はい、と栄生の方へ視線を向ける。
地毛の薄茶色の髪が柔らかくまとめられている。
「やっぱりなんでもない」
窓の外を興味津々で見始めた栄生は、呼ぶだけ呼んで、そう吐いた。



