優しい爪先立ちのしかた



風呂を上がった栄生は既に敷いてある布団の上に寝転がり、仰向けになった。

星屋をからかった理由。無論、理由なく栄生は人を傷つけるようなことはしない、と思われている。

栄生に話すべき事が、星屋にはあったはずだ。なのに、タイミングを見計らってなのか、将又故意なのか、栄生に教えていない。

それを聞こうと思っていたのだった。

多分、前の栄生の世話係である尾形のことではないか、と大体予想はついていた。

星屋と尾形は仲が良かったから。

視線を壁にずらす。先程のどこか引っ掛かる表情をしていた梢を思い出す。

変なこと、吹き込まれてそう。

誕生会のときもそうだった、と考えながら栄生は眠りについていった。