そんなことを考えたらちょっと笑えた。

でも、会ったこともない海夏ちゃんのことを思い出す。

海夏ちゃんも、小学生の時に事故にあったんだ。

アイツは今、一体どうしているんだろう。

雲がべったりと貼りついたまっ白な空を見上げて、少し冷えはじめた指先に息を吹きかける。

アイツは、あの電話を受けた日からずっと姿を見せない。

もう、あの日から一週間がたってしまった……。

私はささくれだちはじめた右手の親指を、気を紛らすみたいに人差し指の爪でしごく。

でも、そのささくれはしぶとく、しごいたくらいではとれそうにない。

けれども、無理に引っ張れば血が出そうだった。

私にはそんな思いきりのよさなんてないのだ。

だから、アイツのことも頭から離れない。

あの時触れられた、ううん、もう何度もアイツに触れられている頭に私もそっと触れる。

こんなことをされて、簡単に割り切って日々を送ることなんてできないんだ。